第6章 損害(物損)
● 修理費
自動車の修理が可能な場合,事故車両の所有者の方は必要かつ相当な修理費を請求することができます。 ただし,自動車の修理ができる場合であっても,修理費が車両時価額と買替諸費用の合計額を上回る場合,経済的全損と判断され,車両時価額と買替諸費用の合計額までしか請求できません。
なお,車両時価額は,いわゆる「レッドブック」(オートガイド自動車価格月報)の価格を基準とすることが大半です。
● 買替差額
物理的または経済的全損,車体の本質的構造部分が客観的に重大な損傷を受けてその買替をすることが社会通念上相当と認められる場合には,事故時の時価相当額と売却代金(スクラップ代金を含みます)の差額が認められます。
● 買替諸費用
自動車の買い替えが認められる場合,車両価格だけでなく様々な費用が必要になります。
その費用のうち,賠償が認められるものと認められないものがあります。
賠償される費用
① 自動車取得税 ② 消費税 ③ 事故車両の自動車重量税の未経過分 (廃車により還付された分を除く) |
④ 検査・登録法定費用 ⑤ 車庫証明法定費用 ⑥ 検査・登録手続代行費用,車庫証明手続代行費用, 納車手数料 |
賠償されない費用
① 事故車両の自賠責保険料 ② 取得車両の自動車税 |
③ 取得車両の自動車重量税 ④ 取得車両の自賠責保険料 |
被害者の方が車両保険を使用した場合,保険料が増額されることがありますが,車両保険を使うかどうかは被害者の方の 自己判断ですから,使用した場合に保険料が増額したとしても増額分の賠償は認められないとされています。
● 代車料
相当な修理期間または買替期間中,レンタカー使用等により代車を使用した場合に認められます。
修理期間は1週間から2週間が通例ですが,
部品の調達や営業車登録等の必要があるときは長期間認められる場合もあります。
● 休車損
休車損とは,営業車両の修理や買替えが必要となった場合,修理や買替期間営業車両を営業に使えていれば得られたはずの利益の喪失をいいます。
(計算式)
1日あたりの損害額 × 休車期間
※1日あたりの損害額 = (ある期間の売上額 - 休車した場合に不要となる支出額)÷ 日数
● 評価損
修理しても外観や機能に欠陥を生じ,または事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合,事故当時の車両価格と修理後の車両価格の差額(評価損)を請求することができます。
● 雑貨
次にあげる費用は損害として請求することができます。
① 車両の引き揚げ費用・レッカー代 ② 保管料 |
③ 時価査定料・見積費用等 ④ 廃車料・車両処分費等料 |